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あの 悲しきみどりいろ [空想の世界]

さて、ふたたび、みたび?よたび・・・?なんたびか忘れましたが
ほかの ソーサクブログに書いた2編です。

(ちなみに、わたしは、ピーマン大好きですが) 



ノウトさんの前に
おっきなピーマンが ふたつあります。

ノウトさんは ピーマンが 大嫌いですが
カボスさんは、この ピーマンを愛していて
丹精こめて 育てて
ノウトさんに プレゼントしてくれました。

なので、
ノウトさんは、この ピーマンを
たべなければいけません。

ノウトさんは、食べることを 想像しただけで
涙が出てきました。

食べないでも済む方法を
いろいろと、考えてみました。
そして、忘れないように メモに書いてみました。
そして、ひとつひとつ、読み上げたりしてみたのですが、
どれもこれも、
なんだか、しらじらしいのです。

カボスさんは、わかってくれるのでしょうか。
ただ、傷つけてしまうのではないでしょうか。
でも、でも、
ノウトさんは、ピーマンが のみこめません。

どうしても、のみこめないのです。

・・・。

カボスさんに、あてどなく、手紙をつづってみました。

そして、

もらったピーマンを 水彩でスケッチしてみました。

ピーマンの絵を描いた絵手紙を 描いてみました。

写真を 撮ってみました。

ピーマンの歌を 作曲してみました。

竹串にさして おだんごのように してみました。

 

どれだけ、時間をついやしても、

カボスさんのつくったピーマンは、しなびたり、くたびれることなく
いつまでも みずみずしいままです。

なんだか、魔法がかかっているようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ゆめ

 

 

のうとさんは ゆめを みました。

目が覚めると
あかいピーマンと
みどりいろのピーマンが
のうとさんの顔を覗き込んでいました。

おどろいたのうとさんに
あかいピーマンが たずねます
「なぜ、わたしたちのことが 嫌いなのですか?」

のうとさんは
やっぱり、困ってしまいました。

苦いから
においが嫌だから
歯ざわりにトリハダがたつから
かたちが嫌だから
・・・
子供の頃、学校の給食の時間、先生に
酢豚に入っていたピーマンを、無理やり口に入れられ、
みみもとで
「カミカミカミカミ・ゴックン!」って 言われたから・・・

のうとさんが、ピーマン入りの給食を食べ終わるのを
同級生の5人くらいが とりかこんで
見張っていたから・・・

・・・
そんなことは
ピーマンに 言っても
わかってはもらえないでしょうし
わかったとしても
変えてしまったら
ピーマンは
ピーマンでなくなってしまいます
それに
ピーマンの こころを
傷つけてしまいます。

のうとさんの目から
ほろりと
涙が こぼれました

こどもの 涙みたいに
ほろほろほろほろと
とうめいのビーズのような涙が
とめどなく
こぼれました

 


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ちょっと、かきなおしてみたので [空想の世界]

そーさくのためのブログに 書いていた童話もどきを
ちょっとだけ、書き直してみたくなったので
書き直してみました。

それでも、途中は途中です・・・
むむー。


 

道化師

 

ピエロのことは、だれにも見えません。
見えませんが、そこにいますし、
誰しもの耳に ピエロの声が聞こえます。

ピエロの言葉は、さも、自分の思いつきのように
誰もが 思っていますが
ほんとは、ピエロが言ったことだったりすることのほうが
殆どです。

いつだったか、ずっとまえは、それでも
みんな、ピエロのことを知っていました。
でも、たいていのとき、ピエロの言うことは
あまりにも、
「まちがっていないこと」が多くて
ひとの心を 傷つけるものだったりするので
いつしか、人々はピエロのことを
いないものにしてしまい、
わすれることにしてしまい、
しまいには、見えなくなってしまいました。

 

 

こどもの天使が かみさまに たずねました
「ピエロは ひとりぼっちなんですか?」
かみさまは こたえました
「いいえ、ちがいますよ」


いつもなら、ピエロは、ごはんに野いちごを摘んで食べた後、
また、野いちごを摘んで、いくつかのジャムにしているところ
なのですが、

きょうのピエロは、何もする気になれませんでした。

ゆうべのうちに カミサマが かごいっぱいに
ピエロへの質問を詰めて、
ちいさい天使に届けさせていらしたので
ピエロは、その質問を 片端から食べていき、
半分食べたくらいのところで、胸もおなかも一杯になってしまい、
何もする気になれず、ぼんやりしていました。

それでも、ずっと、横になっていると、体にも、心にも、具合がよくないのは
よくわかっているので、ピエロは、仕方が無く
着の身着のまま、外へ出ると、足もとに落ちていた木の枝を拾い
くるくると それを ふりまわしながら
当ても無く歩き始めました。

それにしても、かみさまからの質問は いつもやっかいです。

しばらくすると、川が見えてきましたので、
ちいさい川に沿って、歩いてみました。
キラキラと、そよそよと、さらさらと、水は流れていきます。
川面を 小さな虫がふわふわと 浮いて 泳いでいました。
ああ、あれは、危ないかなと、
魚に食べられてしまうかなと 思いながら見ていますと、
虫は ふわりと 飛び上がりました。
そうすると、すぐ、水面がピシャリという音を立てて、
小さくはじけるのが 見えました。
虫は、魚のことを、からかって遊んでいたのです。
「ああ、遊ぶのも 命がけなんだなあ」と
思って見ていると
胸のなかに詰まってた「かみさまからの質問」が
ひとつ、パチンといって、はじけて消えました。

ピエロは タメイキをつきました。

 

 

 


もう少し、歩いていきますと、
川べりに、おもちゃの水車小屋があるのが見えました。
大きさは、大き目のボストンバッグくらいでしょうか。

近付いてみてみると、それは、とても精密に出来ているのが、わかりました。
こんなにも、小さい川の水なのに、
小さい水車小屋の水車は、カラカラ、コトコト、
ちょっぴり、陽気にもとれるような音をたてて廻っています。
ピエロは いつのまにか、頭をふっていました。
右、左、右、左、
そのうち、だれかの ハナウタが きこえてきました。
小屋の中から 聞こえてくるみたいです。
ピエロは、小屋の窓をそっとあけて中を覗いてみました。

中には、ちょっと、みすぼらしい感じの、ひょろりとした女の人がひとりいて
絵を描いていました。
ハナウタは、そのひとが歌っていました。
壁の一面一杯に貼り付けたカンバスに
蓮の花と、レンコンと、ホトケサマの絵を描いていました。
絵は、お世辞にも上手とは いえません。
ただ、いろんな姿のホトケサマと、蓮の花、レンコンを
いくつも、いくつも、描き連ねているので、
ずっと、見ていると、なんともいえない心地になるのでした。

遠いところから みつめているもの
すごく 近く 感じられるもの
過去の 世界、未来の世界、
あまたの星、ミクロの塵、
不安定なもの、やすらぎ、対のもの
無機質なもの
愛情
愛情
愛情・・・

遠い宇宙の果てから ひとつの星の 生命をすべて 知り尽くしたような
なんともいいがたい
気持ち。


明日、見に来たら、この絵は どう変わっているんだろう。
ピエロは、そう考えて、
そのひとに、話しかけるのをやめて
そのまま、家に帰りました。

明日は どう 変わっているのでしょう。


明日は・・・

 


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